大阪高等裁判所 昭和36年(ネ)1271号・昭40年(ネ)1580号・昭36年(ネ)1277号 判決
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【判決理由】そもそも、賃貸借が終了した場合は、右終了が期間の満了によると解約によるとはたまた契約の解除によるとを問わず、賃借人は賃借人に対し、賃貸借契約上の義務として、賃借物を返還する義務を負い、右義務は賃借物を契約当時の原状に復する義務を包含するものと解するのが相当である(民法第六一六条、第五九七条)。したがって、土地の賃借人はその賃貸借が終了した場合、その賃借地上に自ら建築して所有する建物があるときはこれを収去してその土地を賃貸人に明渡す義務があること勿論である(大判明治四四年三月三日民録七九頁)
しかして、賃貸借終了による賃借人の士地明渡の義務は、賃借人が第三者にその賃借士地を無断転貸し右土地の転借人が右地上に建物を建築所有する場合においても、そのために消滅するものでないことはいうまでもないところである。ただ、右賃借人は、特別の事情のない限り、右建物の処分権を有しない結果自ら右建物を収去することはできないものといわなければならない。したがって、賃貸人は、所有権に基き土地の無断転借人に対しその所有建物の収去右敷地の明渡を求めるは格別、賃借人に対して右建物の収去そのものを命ずる判決を求めることは許されないところといわなければならない。そうして、土地の転借人が右転借地上に建物を所有して右土地を占有する限り、賃借人は右土地については間接占有を有するに過ぎない。したがって、転借人において右建物を収去しない限り賃借人は賃貸人に対し右土地を現実に明渡することはできないから、賃貸人は、転借人に対し右建物の収去を求めずして、賃借人のみに対して現実に右土地の明渡を命ずる判決を求めることはできないものという他ないが、他面、賃貸人が転借人に対して右建物の収去土地明渡を求めうる場合において、右建物収去土地明渡を命ずる判決のみを得、右判決を執行して現実に右建物の収去土地の明渡を受ける場合、賃借人は自己の間接占有権に基づき第三者異議の訴を提起しうるであろう。
しかしながら、賃貸人が賃貸土地につき転借人に対し建物収去土地明渡を命ずると同時に賃借人に対し土地明渡を命ずる判決を得てこれを執行するときは転借人から建物を収去して現実にその土地の明渡を得ると同時にこれによって賃借人から右土地の明渡を得ることができるのである。したがって、賃貸人が右のような判決を求めることは認容されうるところといわなければならない。 (宅間達彦 増田幸次郎 小林謙助)